記憶フェイカー

8/18
前へ
/245ページ
次へ
 一応、礼儀にはうるさい部活だ。特に部長と副部長が来たのだ挨拶の声が聞こえないなんて有り得ない。ちなみに雄介が部長で俺が副部長だ。勉強以外の事となると雄介は本当に頼りになる。後輩の面倒見も良く、本人のバスケの実力もトップクラス。部長に選ばれないはずがない。俺も副部長に選ばれてはいるがやることは一般部員と大して変わらない。選ばれた理由は、一応雄介の次にバスケの実力が認められたからってだけなのだろう。 「集合!」  雄介の一言でランニングをしていた部員が集まる。部員は全部で十五人。二年生四人と一年生十一人だ。 「今日は先輩達が引退して二日目になる。三年生は人数も多かったから、俺達下級生は今まであんまり試合に出る機会が無かった。そこで、いきなりだけど今日は部内戦をやろうと思う。三十分後にもう一度集合をかけるから、各自アップとかを済ませとくように!」  雄介がそう言うと、一時解散となった。部長になって二日目とは言え、小中と部長の経験もある雄介はすぐに部長らしいふるまいになっていた。各自アップと言っても全員でランニングシュートとタップで軽く汗を流し、皆体力を多く消費する練習はしたがらなかった。それだけ部内戦とは言え本気な証拠なのだろう。  皆がアップをしている最中に、雄介はホワイトボードにチーム分けを書き出した。内訳は雄介をリーダーに四人の一年生。俺をリーダーに四人の一年生。残りの五人、と言った感じ。二十五分程アップを終えた頃、俺は休憩がてらチームを集めてちょっとしたミーティングをすることにした。 「基本的には俺がパスを回して試合を組み立てようかと思う。でも試合の中心は基本的に一年生らで作り上げてもらうつもりだ。ディフェンスの時は俺も声を出すけど自分達の中で最善を考えて行動することを優先させてくれ。特に決まった指示は無しって事で行ってみよう」  俺がそう簡単に説明すると、後輩達は気持ちのよい返事をしてくれた。
/245ページ

最初のコメントを投稿しよう!

459人が本棚に入れています
本棚に追加