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「ユアンユアン!」
ユアンが泊まる宿屋に、アルマリアの声が響いてきた。また今日も彼女がクエストを取ってきたのだろう。
彼女の騒がしい声を聞きながら、ユアンは父親から譲って貰ったナイフを眺める。
何年も使い込まれたにも関わらず、まるで新品同様の切れ味を誇るそれは、彼の父親が昔愛用していた物だった。
ユアンの日課は決まっていて、このナイフを磨き、手入れする事から一日が始まる。
長く父親と共に在ったナイフは、それだけ父親の命を救ってきたのだろう。
そう思うと、感謝の想いが湧いてくる。
武器を愛せない奴は死ぬ。
昔っから、父親が口を酸っぱくしてユアンに教えた事だ。
それがあったからかどうかは分からないが、ユアンはこうして自分の武器を愛せる青年になっていた。
「ユーアーンー?」
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