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気がつくと、そこはどこかの病院の部屋だった。
俺の周りには、4人の男女が立っていて、その内の2人は病院の関係者だろう。
どうみても、医者と看護婦だ。
もう2人は女性なんだが、残念ながら彼女や友達ではなく、俺の家族…
すなわち、母ちゃんと姉ちゃんだ。
姉ちゃんは、泣きながら膝まついて俺の手を握っていて、母ちゃんは医者に向かって、今にも泣き出しせうな顔で聞いていた。
「せ、先生!それで隆はどうなんですか!」
医者は、うつむいていた顔を上げて母ちゃんを諭す。
「笹原さん。落ち着いて下さい。手術は、無事に成功しました。命に別状はありません。」
そして、少し間を空けると真剣な顔をして言った。
「…今は、麻酔が効いている状態なので、何とも言えませんが、頭部にも強い衝撃を受けていた為、意識が戻るかは本人次第です。」
「…そうですか。
色々ありがとうございました。」
それを聞いて、母ちゃんも深刻表情でお礼をした。
「おいおい、母ちゃんも姉ちゃんも大袈裟だなぁ。俺、起きてるじゃん!」
目の前で、俺が死んだみたいに騒ぐから、安心させる為に元気な声で言ったつもりだったが…
無視された。
「あれれ?無視とか酷くね?俺も傷つくよ…」
と言いながら、周りを見渡す。
医者も看護婦も黙ったままで、うちの家族達にしても、まったく反応がない。
俺はというと、身体中に包帯が巻かれていて、見るからに重体患者だ。
それ以外には点滴を付けていて、脳波を調べる機械も……
ん?
何で俺が見えるの?
ここにいるのは、自分だよね?
俺は、疑問に思いつつも姉ちゃんの肩を掴む。
スカッ
スカッ、スカッ
は?掴めない?
何だこれ?
俺は、パニックになりつつも落ち着く為に深呼吸をした。
フゥーッ
気持ちを落ち着かせ、考えてみる。
……。
………もしかして、俺……
死んだのか?
ということは、ここにいる俺は霊体とかいうやつなんか?
考えもまとまらない内に、医者と看護婦が部屋を出て行くのが見えた。
「ちょ、ちょっと先生!」
慌て呼び止めようとするが、聞こえていないらしくそのまま部屋から出て行ってしまった。
まてまて、落ち着け俺。
とりあえず、どうしてこうなったか考えてみよう。
確か、昨日………
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