特殊なもの

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『ただいま “宮城 朋子(ミヤギ トモコ)” 様が依頼した ロープをお届けしました。』 機械の声がするのとほぼ同時 女子高生、つまり朋子さんが 工事現場にありそうな細めで 強いロープを手にしてきた。 「よぉし!!」 宏さんは健吾さんの腕を縛り 肩ごと更に体を縛る。 その時俺はごろりと横にずれる。 《くっそ…腹が…。》 腹の痛みと戦っていると柏崎さんが駆け寄ってきた。 「明博君!! 大丈夫!?見せて!弾が!」 「平気…だよ…。」 「そんなわけない、銃弾が!」 柏崎さんはその細い腕で俺の手を無理に どかし俺の腹部を見た。 「!…!? …血が…?」 「そ…だから大丈夫。」 俺は腹の痛みと戦いながら何とか笑った。 たぶん引きつってはいたが。 体を起こし自分の腹を見る。 上着は焼けて穴が開いているが 血も出ていない。 服の下には灰色の分厚い服が見える。 「これは…?」 「これ… 防弾ベストだよ!」
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