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《……。》
普通の求人とは違う、気になる事はある。
求める人材はよく分からないし、バイト期間はなぜか“最大”。
そして高額時給。
怪しいのは分かっている。しかし、この時給にはどうしても勝てなかった。
そんな事を思い返していると、いよいよバスが止まった。
扉が妙なほど大きな音を上げて開いた。
「…お待ちしておりました、沼田 明博様。」
「…。」
バスの乗車口に黒いスーツを纏う女性が一人。
俺はバスを降りて女性と並んだ。
「私、沼田様の案内人でございます。」
「案内人?」
「はい、実験施設にご案内致します。」
女性がお辞儀をし歩き出した。
徐々に細くなるコンクリートの道を歩いた先に、
大きな鉄格子が。
「…。」
俺は少し驚いた。漫画の世界のような巨大な牢獄だ。
女性は淡々と鉄格子の鍵を外す。
機械認証から単純な南京錠。
かなり厳重な扉を女性は開いた。
「こちらへ。」
俺は唾を飲み、女性についていった。
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