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「じゃあ、おじさん」
男性の返事も聞かないで少年は街から森へと姿を消す。
森の中を走りながらも少年は思っていた。
(そうだ。僕みたいな弱虫でヘタレがあの子の彼氏なんて、なったらいけないんだ)
そう思いながら倒れている木を飛び越え走って行く。
汗を流しながら少年は一つの家の前で止まった。
体が熱くなりロングコートを脱ぐ。
そして、扉をノックしようとした少年に声がかけられた。
「おはよう、リューク」
「何で君が外に出てるんだ?」
少年は後ろを振り向いてそう呟いた。
後ろには、肩まである綺麗な金髪の少女がいた。
少女は瞳が綺麗な水色で白いワンピースを着ている。
ブーツは茶色で紐のリボンがついていた。
「えへへ。今日はちょっと元気なの」
「だからって、休まないと駄目だよ」
「はーい! ヒーローさん」
「っ! だ、だから僕はヒーローなんかじゃないって!」
必死に言う少年を見て少女は目を細めた。
少年はその仕草を見て何も言えなくなる。
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