第一章 幼なじみの二人

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無言になる少年を見て少女はゆっくりと口を開けた。 「リューク。リューク・クロワルド。貴方は私にとっては、ヒーローみたいな人よ」 ニッコリと柔らかく微笑む少女をリュークは見た。 無言のまま深い溜息をついて、家の方へと歩き出す。 「早く開けて欲しい。今日もお母さんは仕事なんだろ?」 「うん」 少女は嬉しそうに返事をしてドアを鍵で開けた。 リュークはパタパタと家の中へ入って行く少女を見て、独り言を呟いた。 「ナリア。ナリア・ルナソルク。君のその言葉は嬉しいけど、たまに傷付くよ」 玄関で言われたその言葉は、少女―ナリアには聞こえなかった。 家に入った二人は紅茶を飲みながら話をしていた。 話ているのはナリアだけで、その話を聞かされているのがリュークだった。 「本当に凄いよね。勇者の人が一人でドラゴンを倒したんだよ?」
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