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無言になる少年を見て少女はゆっくりと口を開けた。
「リューク。リューク・クロワルド。貴方は私にとっては、ヒーローみたいな人よ」
ニッコリと柔らかく微笑む少女をリュークは見た。
無言のまま深い溜息をついて、家の方へと歩き出す。
「早く開けて欲しい。今日もお母さんは仕事なんだろ?」
「うん」
少女は嬉しそうに返事をしてドアを鍵で開けた。
リュークはパタパタと家の中へ入って行く少女を見て、独り言を呟いた。
「ナリア。ナリア・ルナソルク。君のその言葉は嬉しいけど、たまに傷付くよ」
玄関で言われたその言葉は、少女―ナリアには聞こえなかった。
家に入った二人は紅茶を飲みながら話をしていた。
話ているのはナリアだけで、その話を聞かされているのがリュークだった。
「本当に凄いよね。勇者の人が一人でドラゴンを倒したんだよ?」
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