―入学式―

3/24
前へ
/24ページ
次へ
とりあえず、みんなが注目するので気まずい状況ながら立ち上がる。 「えっと……、ここでいいんですか?」 自分としては、前に出ての挨拶は好きじゃない。 大迫先生は俺の質問にちょっとの間も置かずに即答した。 「せやね」 一瞬、クラスの空気が「ん?」となる。 俺もほんの一瞬固まったが、あぁ、なんだ関西弁か。 「えーっ、八広 工作です。よろしくお願いします」 「八広か。はい、みんな拍手~」 パチパチと適当すぎる拍手がちらほら。大丈夫かよこのクラス。 一応、県内で二番目に倍率高かったんだし、それなりに真面目でエリートなハズ。 よく覚えてないが、たしか三倍以上だったような……。 まぁ半分は推薦だとしても、そんな苛酷な受験戦争を生き抜いた猛者たちだ。 きっと中学校だって真面目に勉強していたに違いない。 そうか……、こいつらはすでにお互いライバル視しているんだ。 ライバルには拍手なんてしない……っ! 俺はどうやら、とんでもないクラスに入ってしまったようだ。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加