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一人さきに泉に着いたレオ
刹那を人型にして、抱き締める
「レオ?」
「………一人は……嫌です」
刹那の肩に顔をうめるレオの呟き
刹那はハッとして、レオを抱き締め、頭を撫でる
「俺はいつでもお前と共にある、お前の為だけに造られたんだ…離れないよ、大丈夫」
「僕を、置いてきぼりにしないで…」
いつもと違い
弱さを見せるレオ
そんなふうには見えないが、捨てられたことがレオの心の傷となっていた
因みに青年との別れもそれを増長させた
普段のレオも、勿論素であることに違いない
しかし、置いていかれた五歳のレオも、未だレオの中には残っていた
「置いていかれるのは俺だろ?お前が居ないと動けやしない、なんたって俺は剣だからな」
「……刹那は、ずっと一緒ですか?」
依存していると言ってもいいレオ
剣や亮に言わせれば、これが病んでるのだけれど…
「ずっと一緒だ、ほらしゃんとしろ…アイツに怒られるぞ?」
「……師匠は怒ると怖いです………………悪い、もう大丈夫だ」
レオは刹那をはなし、刹那は笑って剣に戻った
「浮き雲!先に行き過ぎだろ?皆を正気に戻すの大変だったんだぞ!?」
亮が文句を言いながら部屋に入ってきた
「ふざけるな、遅いのが悪い!!俺は紅茶を蒸らす時間以外の待ちが嫌いだ!!」
いつもと変わらないレオ
きっと、弱いレオを知っているのは刹那だけ
そんなレオの弱さを可愛いと思っているのは刹那だけの秘密だ
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