移りゆく季節

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3年生が引退すると、すぐに新体制が組まれることとなった。 これまで、『最強』と言われた3年生の陰に隠れていた2年生は、人数も少なく練習不足の感も否めないせいか、新チームには1年生も同等のチャンスが巡って来た。 夏休み期間の練習は過酷を極めた。 朝8時に集合し、夜21時まで小山部長とコーチが組んだ、メニューを次々とこなしていく。 何よりも、まずは体力作りが基礎となるため、走り込みや筋トレなどが大半で、ノックやバッティング練習は一日の半分もなかった。 この夏の成果で、秋の新人戦のレギュラーが発表されることもあり、部員は皆必死だった。 「マネージャー、一人じゃ大変だね?」 練習帰りは、いつものように4人で自転車を走らせる日々が続く。 「うん。 慣れないこともあって、こず先輩がいた頃みたいにできなくて、ごめんね」 恵は、靖司に肩をすくめてそう答えた。 「そんなことないよ。 このスパルタ練習だって、一日付き合ってくれて、本当に頭が下がるよ。 しっかし、部長もマネージャーに厳しいよなー。 少しは早く帰らせるとか、休みをやるとかすればいいのに」 恵は、一瞬考えるような顔をしたが、すぐに笑って靖司を窘める。 「それが部長の優しさよ。 最初から最後まで練習に参加させてくれて、感謝してるもの。 邪魔にならないように、早くみんなの練習のサポートできるよういならなきゃ」
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