出会い

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その日、チャンスが訪れた。 内野のシートノックの際、正二塁手の3年生がヘマをし、小山部長に怒鳴られていた。 部長はその流れで、一塁側で球拾いをする自分たちに、 「1年で、こいつらより守備がうまいと思うやついないか!?」 と、声をかけたのだ。 瞬時に康祐は手を挙げ、やる気を示すようにグローブをバシッと叩いて見せる。 そして、部長の指示でセカンドの守備についた。 ここで、アピールしておけば―― 康祐は必死だった。 部長から来た打球を全て確実に捕らえ、一塁に送球する。 中には難しいゴロもあったが、康祐はひるまず自分のプレイを披露することができた。 ノックが終わり1年生の輪に戻ると、みんなが口々に、 「お前、勇気あるな。 先輩に睨まれるぞ」 「でも、あの場面であれだけやれるのはすごい」 などと声をかけてくる。 黙っていたって、チャンスなんて巡ってこないだろう―― 心の中で毒づく康祐は、これで練習に参加させてもらえるかもしれないと、淡い期待でいっぱいだった。
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