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「なかなか筋がいいな。
肩もいいし、投手としてもいけるんじゃないか?
ポジションはどこ?」
外野でシートノックの返球をしていた彼に、村瀬主将が声をかけた。
「中学時代はセカンドですが、リリーフピッチャーもやっていました」
康祐自身は、セカンド志望だが、この際投手でもかまわないと、逸る気持ちを隠しきれない。
「やっぱりな。
まあ、がんばれよ」
村瀬主将は、力強く頷くと、そのままバッドを担いで行ってしまった。
(練習に参加させてくれるんじゃないのかよ)
心の中で舌打ちし、康祐は再び『仕事』に戻る。
「今日来ていた子、マネージャーになったのかな?」
練習帰り、靖司はニヤニヤしながら木山と話している。
「可愛いよなー。
色白くて、人形みたい。
モロタイプだよ、俺。
しかも、同じクラスなんだぜ。知ってたか?おい」
靖司は、クルッと康祐を振り返った。
「知らない。
興味もない」
そう吐き捨てる康祐に、靖司はわざとらしく不満気な視線を送る。
野球部に女子マネージャーなんて必要あるのか?
第一、男子部のマネージャーになりたいなんて、ミーハーか物好きとしか思えない。
それより、康祐の頭の中は、いかにして自分をアピールし、レギュラーに入り込めるか、その算段ばかりだった。
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