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「で、話ってなんでしょうか」
私と笠原先生は向かい合って
立って話をする。
笠原先生は申し訳なさそうな顔で話し出した。
「…実は私のミスで
大変なことをしてしまったの」
「…?」
「…た…橘さんを男子寮に入れちゃったのよーっ!!!!」
……………………………え?
「…どど、ど、どゆことですか??」
あまりに予想外すぎて
口が震える。
「ご、ごめんなさい…
橘さんの名前
ゆう、ていう名前でしょ?
だから、てっきり男の子だと思って性別も見ずに男子寮の方に入れちゃったの」
「ぇ、ええ、えと
じゃあ私は男子寮に住むっていうことですか!?」
「その、そうなの…
女子寮はもう全部の部屋埋まってて入れる部屋ないし…
私のミスなんです!!
ほんとにごめんなさい!!!」
バッと頭を下げる笠原先生。
「だ、大丈夫ですからっ
その、大丈夫ですとにかく!!」
頭下げられるのが申し訳ない気がして私は慌て言った。
笠原先生は涙目で顔をあげる。
「ぁ、わ、私、幼なじみがいるんで、男子寮でも平気だし!
あはは…っ」
実際笑えないけど笑っとく私。
「…うぅ、ありがとう…
私、まだ新任でいきなりこんなミスしちゃって……
橘さん、何かあったら
私に言ってくださいね!!
力になりますから」
「はい…大丈夫ですっ」
こうしていまだに実感がわかない事実を受け止め
私は空き教室から出た。
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