一度負けた男

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びっくりするくらい背の低い男は金網を指差し小刻みに震え声にならない音を発してマスを数えていた。 その傍らで地面に座り込む中年男はサングラスに金のネックレスで咥えタバコと少しはまともに見えるがズボンを履いていない。 下半身がブリーフ一枚だ。 僕は呼吸の乱れを隠しながらさらに進む。 ここはいわゆるドヤ街だ。 年を重ね仕事にあぶれた日雇い労働者が溢れる街。
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