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「……お前、俺に喧嘩を売ってるのか?」
末埜は鈍感ではない。先程の言葉が自分に対しての悪口だと言うことは十分にわかっている。
座っていた椅子から立ち上がり詰め寄るようにして天馬へと歩いていく。
明らかに怒っている。そのことがわかっている天馬と平太以外のクラスにいた人達の間に緊張が走る。
しかし、
「お前は相変わらず人をおちょくることが好きだな。まさにお前のことを天使の皮を被った悪魔と言うんだろうな」
「いえいえ、私なんてまだまだですよ。《黒い翼》を持つ貴方には敵わないですよ」
一触即発の雰囲気が嘘なのかのように二人は笑いあっていた。
甚平や平太以外のその場にいたほとんどのものは一体何が起こっているのかがわからない。
数多くの生徒達が不思議そうに彼らのことを見ていた。
「あの二人、いつもあんな感じなんだよ」
他の人達と同じように疑問に満ちた目で見つめている甚平に平太がいつもの調子で声をかける。
「唯我独尊で自分勝手な版図だけど天馬に対しては何を言われても怒らない。対する天馬も版図には好き勝手なことを言うわりには深くは弄ろうとはしない――俺達のように」
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