四月

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「悪いな六條長男、羽留花の儀式に付き合ってくれて」 全ての机を直し終わった後、末埜が彼女である羽留花を連れて黒夢の元にやって来て礼を言う。 黒夢は黙って首を横へと振って気にしなくてもいいと意思表示をする。 「気にしなくてもいい。俺もなんだかんだで楽しかったから。またやろうねうーちゃん」 「機会があれば」 「またやるんだったらその前に俺を通してもらうぜ。なんせこいつの彼氏だからな――なぁ羽留花?」 そう言って、後ろから自分より二十センチ以上低い宇宙の首元に腕を回して抱き締める。 世間一般で言うあすなろ抱きと言う少し恥ずかしいけど女性が最もやって欲しい抱き締め方だ。 事実見ていた観客の女生徒達からはキャアキャアという歓声が上がっている。 そしてやられた女性のほとんどは顔を真っ赤にさせて恥ずかしがる代物。 けど、抱き締められている羽留花は恥ずかしがることなくいつもの態度であった。 「うーはすーのの彼女。でもその前にすーのはうーの第一子分」 「あぁそうだったな。ごめんごめん」 今度はいとおしく抱きついている宇宙へと頬擦りをする末埜。 さっきまで獰猛な猛獣のような雰囲気を出していた末埜のからは想像できないほどのデレッぷりだ。 なお、一部の女生徒の間ではこの末埜のデレッぷりは結構評判がいいみたいだ。 ちなみに遠くでその光景を見ていた侠は物凄く羨ましそうな目で見ていた。 同時に平太に向かってあれをやってくれと言う念を送っていた。 それが通じたかどうかは知らないが平太は軽く身震いをする。
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