四月

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四月の始業式。それは学生にとってはこの一年間の自分の生活が決まる大事な行事――クラス分けが発表される時なのだ。 各々の生徒達は仲がいい人や好意を抱いている一緒になりたいと願っているであろう。 それは二年生のクラス分けが発表される校庭の一ヶ所でも同じこと。 口に出しているものや心の中で願っているものなど違いはあるが多々いた。 (お願いだ神様! 今年こそ向山輝希ちゃんと一緒のクラスにならせてくれ!) ここにも一人、口には出していないが心の中で強く願っているものがいた。 彼の名は中城甚平(なかじょうじんぺい)、去年(とある人物)と一緒にこの学校で様々な事件を起こして騒がした大馬鹿もの。 停学処分を食らった数は数知れず、よく進級できたなと思えるほど素行は悪い。 けど、暴力沙汰とか悪い方で停学処分を食らった訳ではないので学校での人気は結構高い。 そんな彼にはどうしても一緒のクラスになりたいと思っている人がいた。 それは甚平から少し離れた所でクラス分けの紙が出されるのを待っている少し小柄な女性だ。 名前は向山輝希(むこうやまきき)。容姿は特に可愛いわけではなく平均くらい。 けど性格は満点。何事にもすぐ気が利いて上手いアシストを出す内助の功。 異性としては人気がないが人間としてはかなり人気がある。
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