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「よかったですね中城君、念願だった向山さんと同じクラスになれまして」
今とある人物が言った通り、甚平は念願だった輝希と同じクラスになることが出来た。
そのことに甚平は心の底から嬉しくなり、沢山の人がいるこの場で思わずガッツポーズしようとしていた。
あくまでしようとしていただけ、実際にすることは出来なかった――ある人物に声をかけられたからだ。
その人物とは、
「ストーカーのようにしつこく願い続けた価値はありましたね」
「師使天馬……」
甚平は自分に話しかけてきた男を見た瞬間、先ほどの笑みがどこかに吹き飛ぶくらいの嫌な表情をする。
彼の名は師使天馬(ししてんま)。去年甚平と同じクラスだった男だ。
容姿はどこかの国の王子様のような爽やかなイケメン。
しかし中身はこの世の悪が凝縮されたかと思うほどに真っ黒。
噂では持っているありとあらゆる情報によりこの町を牛耳っているとまで言われている。
「おやおや、何故だかわかりませんがあまりお顔が優れませんね。何か嫌なことでもありましたか――例えば凄く嫌なやつとまたこの一年間同じクラスになりましたとか?」
「……時々お前って人の心の読めるのかとおもっちまうよ」
「さぁ~、それはどうでしょうか?」
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