黄金の眼

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ぶつかり合った視線は十秒にも二十秒にも感じられた。 その間、二人はお互いから一度も目を離すことがない。 やがて、軽く息をついたドルジが僅かに不服そうな顔をしながら肩をすくめた。 「これ以上は無駄だな……。疑ったりして悪かった」 「べつに気にしねぇよ。実際怪しいことしてんだ。疑うなっつーほうが無理だ」 とくにお前はな、と言おうとして口をつぐむ。 それは明らかに挑発行為にもなってくる。 あまり刺激しても、いいことなどありはしない。 「はぁ……。つまりはもう、どうしようもないってことなのよね。 今考えるべきは、シンたちが私たちと同じ道を辿らないように見守ってくことだけか……」 ミリーが観念したように声を漏らす。 言いたいことはすべてどうにもならないただの文句だと分かったのだろう。 すでに二人に何かを追求する気は失せたようだ。 「いいわ。なら、私は私がすべきことをする。ライザ」 「あいよー」 そう言って二人は転移の魔法陣を開く。どうやら本部に帰るらしい。 「あ、ちゃんと修理代は請求しとくから、きちんと払ってねー」 「「ちッ」」 この惨事を流れでうやむやにすることはできなかったようだが。 「では、俺も失礼する。他の教員の方々に色々任せてきてしまったからな」 ドルジも背を向ける。 気づかなかったが、すでに武器のハンマーは虚空へと消されていた。 「んじゃ、俺も……」 なんだかんだで一番にクラスへ戻らなければならなかったことをケイトは思い出す。 さすがに今日ぐらいは何かしら彼等にしてやろうと考えながら踵を返した。
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