4/15
前へ
/15ページ
次へ
「良いでしょ、これ。六目夜 流禍の新刊!」 「うっそ! 発売されたなんて、どこにも書いてなかったのにぃ」 「それが自費出版だから、本屋もいつ入るか分かんないんだってさ」 ある日、そんな会話が僕の耳に入ってきた。僕はその話をしている女子学生に慌てて声をかけた。 「ね、ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど!」 彼女達は、明らかに不審そうな目を向けてきている。 「いや、僕も六目夜 流禍のファンなんだけど、今の話が聞こえてきたから少し詳しく聞きたくてさ」 慌てて付け加えると、二人はすぐに合点がいったのか、先程よりは肩の力を抜いたようだった。 「六目夜って自費出版だったんだ?」 そう水を向ける。すると、新刊を持っている少女は、自分だけが知ってるという事に気を良くしたのか、色々と話してくれた。 「そうなの。なんかね、パソコンで置いてくれる本屋さんを募集して、置けるってところに配送するんだってさ。最初の本の時は本人が頭下げに来てたらしいんだけどね」
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加