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「良いでしょ、これ。六目夜 流禍の新刊!」
「うっそ! 発売されたなんて、どこにも書いてなかったのにぃ」
「それが自費出版だから、本屋もいつ入るか分かんないんだってさ」
ある日、そんな会話が僕の耳に入ってきた。僕はその話をしている女子学生に慌てて声をかけた。
「ね、ねぇ、ちょっと聞きたいんだけど!」
彼女達は、明らかに不審そうな目を向けてきている。
「いや、僕も六目夜 流禍のファンなんだけど、今の話が聞こえてきたから少し詳しく聞きたくてさ」
慌てて付け加えると、二人はすぐに合点がいったのか、先程よりは肩の力を抜いたようだった。
「六目夜って自費出版だったんだ?」
そう水を向ける。すると、新刊を持っている少女は、自分だけが知ってるという事に気を良くしたのか、色々と話してくれた。
「そうなの。なんかね、パソコンで置いてくれる本屋さんを募集して、置けるってところに配送するんだってさ。最初の本の時は本人が頭下げに来てたらしいんだけどね」
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