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『‥慧ちゃん真面目なの?』
参考書を開く俺に
侑李が訪ねてきた。
『ふっ、何だそれ』
有り得ない問いかけに
思わず笑ってしまった。
俺が真面目なんてこと
あるはずがない。
『だって、黒縁眼鏡とか‥』
『嗚呼、これは違うよ』
俺は、黒縁眼鏡を外して
机に置いた。
『度も入ってない』
『‥何でかけてるの?』
『ん‥変装みたいな感じ』
変装でもしとかないと
学校で過ごせない。
生徒の中でも、俺は
かなり美形ならしい。
俺的には、侑李のほうが
可愛いと思うけど‥
だから、廊下を歩くだけで
シャッターが切られる。
どこからか分からない
携帯のシャッター音。
それが、怖くて怖くて
仕方がなかった。
だから、俺は変装する
ことに決めたんだ。
少しの変装だけど
誰も俺だと気づかない。
それに、教室には
滅多に行かないから
学校で他の生徒に
会うこともあまりない。
会うとすれば、最近は
光と宏太くらいだ。
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