涙の図書室

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 『ぅ‥っくぅ‥』  授業中の図書室には  当たり前に誰もいない。  僕は、涙を我慢する  こともなく泣いていた。  『ひかぁ‥っぅぅ‥』  僕の泣き声に混じり  かすかに聞こえた、  扉の開閉する音。  近づいてくる足音を  僕は、気にも止めず。  只々、ずっと  泣き続けていた。  足音は、僕の目の前で  静かに止まった。  僕の目の前に誰かが  座ったのが分かる。  これが光だったら  どうしよう‥  僕のこと心配して  探してくれたのかな?  ‥そんなこと、  あるはずないよね。  光は、宏ちゃんのものに  なっちゃったもん。  顔を上げたいけど  上げるのが怖い‥  もし、光だったら  どうしよう‥  光じゃなかったら  どうしよう‥  僕は、光だったら‥  そんな淡い期待を胸に  そっと顔を上げた。  目の前にしゃがんでたのは、  光の金髪とは、正反対の  黒髪が特徴的で。  黒縁眼鏡をかけて  生徒会長みたいな見た目。  俺のことを心配そうに見る  優しそうな先輩だった。  
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