141人が本棚に入れています
本棚に追加
君は、図書室の隅で
一人、泣いていた。
『…君、大丈夫?』
これが、俺と君の
第一声の会話だった。
君は、真っ赤な目で
俺を見上げた。
瞳に涙を溜めて
上目使いで俺を見る。
その姿は、捨てられた
犬のようだった。
『…大丈夫?』
気の利いた言葉が
言えない俺は
ただ、大丈夫?の
一言しか言えなかった。
今の時間は、普通なら
授業の最中だ。
もちろん、図書室には
俺たち以外いない。
俺は、そっと目の前で
泣いている君を
包むよう抱きしめた。
『…泣いて、いいよ』
『…ぅっ、ふぇ‥っ』
安心したように
また泣き出した君。
俺は、君が泣き止むまで
ずっと抱きしめていた。
最初のコメントを投稿しよう!