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「あれ?」
思わず声に出ていた。
朝の6時半はまだ薄暗い。
そんな時間に誰もいるはずのない校庭に、義彦は人の気配を感じた。
(誰かいるのか....何してんだ?)
バックネットの前に誰かがいる。
義彦は確信すると、ゆっくりと近づいて行った。
「あ....」
思わず出した声に振り向いたのは、2年生部員の小谷圭太だった。
「伊藤先輩!おはようございます!」
小谷は帽子を取り頭を深く下げて挨拶をした。
「おはよ....って何やってんだ?朝練か?」
義彦の疑問に笑顔を見せる小谷。
「うっす!少し走り込みしようかと」
小谷圭太。
レギュラーではない選手だが、その根性は義彦も認めるものがある努力家だ。
「そっか。じゃあ一緒に走るか?後でキャッチボール付き合ってやるよ。」
義彦の言葉に小谷は満面の笑みを見せた。
「マジすかっ!?ありがとうございますっ!」
義彦にしても1人で走るよりは誰かがいる方が気楽だった。
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