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「俺....川中さんたちには酷い事言っちゃったのに....許してくれるなんて....」
小谷は昨年の甲子園大会の直前に、高速道路のサービスエリアで会った天川高校のキャプテン川中真平をからかい、御台に土下座させられるという苦い思い出があった。
「天川か....凄いチームだったな」
夏の甲子園出場校の中でも、一際輝いていたのは天川高校だった。
確かに個人レベルも高く、実際に四番を打ったキャッチャーの松本はドラフト1位指名。
ピッチャーでキャプテンの川中は150キロ以上の速球に加えスライダー、フォークにナックルまで投げた。
他の選手もそれぞれが自分の特性を上手く生かし、初出場で初優勝をもぎ取って行ったそれまで無名の県立高校....
「御台キャプテンが呼んだらしいですよ。川中さんも広瀬さんも東京の大学に進学らしいっす」
川中が肩を痛めて、もう投げられないと言う事は義彦も聞いていた。
それがなければ間違いなくプロ入りだっただろう....
優勝から一転して先が見えない暗闇に落ちた川中を思うと、義彦はまともに顔を見る事が辛く思えた。
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