第1章 第1話

2/3
前へ
/5ページ
次へ
「そーよ。悪い?天気予報を信じちゃったのよ。自分を信じればこんなことにはならなかった」 「ふーん。俺傘2つあるんだけど」 その男子は、見せびらかすように、2つの傘を高々と掲げた。 「…貸してくださいと頭を下げてほしいの?学年万年2位の高澤春樹殿(笑」 「そうしてくれると嬉しいんですがね、学年トップで冷血漢の野田梓様(怒」 2人の間に火花が散ったように見えた。梓と春樹は、周りが干渉したくなくなる程、仲が悪い。 梓は毎回495点以上は確実にとり、トップの座は入学以来、誰にも譲っていない。 一方春樹は、入学したての頃は中の中だったものの、当時隣だった梓に馬鹿にされ、対抗心を持ち、以来梓にしがみつくように、学年2位をとり続けている。 これを見れば一目瞭然だろう。トップをとろうとし、梓をギャフンと言わせてやろうという魂胆が丸見えの春樹と、トップの座を守り、春樹を難なく手玉にとっている女王気質の梓。 つまりは、『犬猿の仲』というわけだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加