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すると、応答らしきものが返ってきた。しかし、雑音で何も聞こえない。指揮官は考えた。このような場合、時間と言うのは誰も与えてくれない。そこで、こちらの機体を向かわせた。識別信号も出さず、離脱する気配もないとなると、基地への誘導か、撃墜のどちらかしかなかった。
指揮官「未確認機に告ぐ。今から、中央軍特殊作戦指令部へ誘導する。従わない場合は撃墜する」
指揮官は繰り返し通告した。未確認機をロックオンすると、大型ヘリは高度を下げ始めた。とりあえず、基地への誘導には従うようだ。だが、相手は本当に未確認機のようだ。情報によると、あのヘリはすでに撃墜されていた。意味の分からない情報だったが、撃墜されたという情報は、紙上の文字より得た情報だ。この目で確認するのが一番だろう。指揮官は上階へ向かった。
その頃レノックスは、作業を中止し、パソコンに向き合っていた。画面に映っていたのは、レノックスの奥さんのサラ、それに、サラにおぶられている赤ちゃんだ。レノックスが留守の間に父親になっていたのだ。
レノックス「お姫様は元気かい?」
サラ「あなたがいないのを嘆いているわ」
接続状況は良好だった。
サラ「あのね、初めて笑ったのよ」
レノックス「笑った?本当に?」
サラ「ええ、初めてね」
レノックス「もうすぐその笑顔を見に行くからな」
ふいに画面が乱れた。
レノックス「サラ…?」
接続状況がおかしくなるのには慣れたが、悔しさに慣れることはなかった。
レノックス「はぁ~くそっ!」
完全に接続が切れた。どうやら、諦めるしかないようだ。
同じ時、あの大型ヘリが離着陸場に着陸していた。すぐにそのヘリを囲み、ライトで照らされた。パイロットは…それでも無表情だった。
指揮官「何か変だ…」
マイクで指示を出す。
指揮官「パイロットに告ぐ。全システムを停止し、乗員を機外へ出せ」
しかし、従う様子はなかった。一体何のつもりだ?
??「あっ…」
誰かが声をあげて指をさした。パイロットが突然消えたのだ。周りが暗いから一瞬見失ったとかではなく、本当に消えてしまったのだ。空気に溶け込むように…。
それが合図になったかのように、いきなりかん高い音とエネルギーに襲われた。隊員達は、思わず耳を塞ぐ。この音は、電子機器全てに影響を及ぼした。
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