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「行け!!勇者!!ここは俺が引き受ける!!」
筋骨隆々の武人が、人の形をした牛……魔牛斧槌士ザカツマの巨斧を、闘気を帯びた拳で受け止めながら声を荒げ、自分の背後にいる人物に叫んだ。
「だが!」
「こいつは俺の妻の仇……お前になど邪魔はさせんぞ!!わかったら行けぇ!!」
「ナ゛二!?」
武人の拳が魔牛の斧を砕き、止まらない力はそのままザカツマの腹部を捉える。
余りの衝撃に、その人間よりも遥かに巨大な体躯が宙を舞い、魔王城の分厚い壁に背中から突き刺さった。
「俺は必ずコイツを討ってお前の元へ駆け付ける。だから、お前は魔王を倒して来い」
「……あぁ、任せろ」
武人の背後にいた人物が、次の回廊へ続く扉へと走る。と、同時に、魔牛は城壁を粉砕し、自分を殴り飛ばした人間に対しての憤怒を爆発させ、咆哮をあげた。
「……いざ参る!!」
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