発表・披露宴.premier

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「それにしても大したものね。脚が見えなかったわ」 トレーニングを見ていたのだろう。オリヴィアがやってきたことに気付かなかったが、しばらく見られていたようだ。 「一見生身の少女が時速180kmで走っているのよ?しかも、60%の負荷で65テラワット時だなんて。数百年前の原発の2倍ね」 左手に持った端末にデータを記録し終わったフレンダが驚きの表情で近づいてくる。右手にはココナッツジュース。 「ありがと。アメリカの国民の税金で作られたんだから、すこしでも役に立たなくちゃ。そうでしょ?」 フレンダからジュースを受け取りつつ、笑顔を向ける。 元々AIにインクルードされていたのか、私は国や人の役に立ちたいという気持ちを強く感じていた。 ―例え造られた感情でも、今フレンダやオリヴィアを見ながら発したこの言葉と気持ちは造りものではなく、自分自身のものだ。
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