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美人だから、おしとやかにしてればいいのにってみんなは言うけど、あたしはやっぱりこっちの莉乃ちゃんの方が好きだ。
『学校で逢ったら、絶対に文句言ってやらなきゃ!あぁーでも、逢うのもキモイ!!』
『あはは!やっぱ莉乃ちゃんだ!いいねぇー。』
『は?全く意味がわからないんだけど、風花!
てか、あんたは何かないの?』
立ち止まって、ジッとあたしを見つめてくる莉乃ちゃん。
一瞬、彼の春のことが頭をよぎったけど、どうしても言葉が出てこなかった。
莉乃ちゃんに隠し事をしているみたいですごく嫌だけど、自分でも春のことをうまく説明できる自信がない。
なにより、莉乃ちゃんに、嘘なんて通用しないし。
言葉を詰まらせているあたしに、莉乃ちゃんは大きな溜め息を一つつくと、『わかった。』って一言つぶやいてにこやかに笑った。
『待ってる。風花が話せるその時が来たら話して。それまでちゃんと待つから。』
あぁー!!
莉乃ちゃん!!
驚きとうれしさのあまり、あたしは莉乃ちゃんにガバッと抱きついていた。
あなたはどうしていつもこう、ステキなんだろう!
泣きそうになりながらも、あたしは莉乃ちゃんの背中にまわした腕に力を込めた。
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