72人が本棚に入れています
本棚に追加
『風花!?風花!!』
あっ・・・莉乃ちゃんがあたしを呼んでる?
『風花!!大丈夫?ねぇ風花?泣いてるよ。』
気がつくと、あたしの両手を握りしめた莉乃ちゃんが、心配そうにあたしの瞳をのぞきこんでいた。
あぁーあたし今、泣いてるんだ・・・
莉乃ちゃんに言われるまで、自分でも気が付かなかった。
そんなあたしに、莉乃ちゃんはティッシュを手渡しながら、話しをきりだす。
『ねぇ、風花。もしかして風花は、春のお兄さんのこと知ってるの?』
莉乃ちゃんの真剣な瞳とあたしの不安定な瞳がぶつかる。
それだけで、勘がいい莉乃ちゃんは何かに気がついたらしく、納得した表情であたしを見つめた。
『そっか・・・蒼は先生してたなぁ。中学の先生。風花はそこの生徒だったんだね。』
大きく深く息を吐き出した莉乃ちゃんは、その場で後ろにバタンって倒れた。
その姿をボッーと眺めながら、あたしにはもう何の感情も生まれてはこなかった。
最初のコメントを投稿しよう!