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『風花!?どうしたの?』
あたしを見上げる莉乃ちゃんの瞳が、ビックリしたのか大きく見開かれていた。
その瞳をあたしは見ているようで見えていない、おかしな感覚に心がフワフワする。
瞳の焦点があわないなぁなんて、冷静に分析してる自分がいて、おかしくて笑えた。
行かなきゃ・・・でも、いったいどこへ?・・・それでも行かなきゃ。
フラフラとドアまで歩いていくあたしの背中越しに、慌てた莉乃ちゃんの声が聞こえてくる。
『ちょっと!?風花?どこに行くの?帰るの?』
あたしのことを心配している莉乃ちゃんの顔が浮かんできたけど、今のあたしの心には何も届かない。
振り返ることすらせずに、あたしはうなずいただけで部屋を後にする。
階段を一気にかけ降りて、玄関で靴をはこうとしゃがみこむ。
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