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玄関から家の門までのわずかな距離を、莉乃ちゃんがカツカツと靴音をならしながら追いかけてきた。
『風花!?お願いだから、ちょっと止まってって!!』
莉乃ちゃんの声色に少し怒った強さが混じっているのを感じたけれど、それでもあたしは逃げるように門をこじ開けて、通りに飛びだした。
ドンッ!?
わぁぁ!!
前も見ずに飛び出したあたしは、誰かとぶつかってしまったらしく、アスファルトの上に尻餅をついていた。
熱を帯びた地面の暑さに思わずついていた手を上にあげる。
『ごめん、風花!大丈夫か?』
頭の上から降ってきた声と、スッと瞳の前に差し出された大きな手に、あたしは見覚えがあった。
顔を見なくても誰だかわかってしまう、今一番、あたしが逢いたくて逢いたくない人。
何でここに?何で・・・いるの?どうして出逢っちゃったんだろう?どうして、どうして好きになんか・・・
『風花?大丈夫か?立てるか?ほら!手!』
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