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ちっとも起き上がろうとしないあたしを心配したのか、更に瞳の前に差し出された大きな手。
その手をあたしは見つめたまま、とることができずにいた。
先生の弟だという事実が、あたしの胸をギューっと締め付けて苦しくさせる。
春は先生の弟・・・先生の弟は春・・・何をどう考えてみたってその答えは変わらないのに、あたしの頭の中をグルグルと回っていた。
『風花!?春・・・?』
ふいに後ろから名前を呼ばれて無意識に振り返ると、家の門ごしにこちらを見ている莉乃ちゃんの驚いた瞳とぶつかる。
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