chapter1

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私の入学した高校には、立ち入り禁止区域があった。 元々は砂利が敷き詰められていただけであろう細い一本道に、雑草がはびこり、その奥には緑の木々が生い茂っている。 その道の前に、 学校用地につき、関係者以外の立ち入りを禁じます。 と書かれた立て札が、境界線をつくるかのようにたてられていた。 普段の学校生活において、気にも留めないようなその場所は、私にとって、ゲームセンターやショッピングモールなんかより、ずっと興味を惹かれる場所だった。 なぜだかは分からない。 けれど、単に何があるのか気になったからという単純すぎる言葉で言い表せるものではなかった。 イヤホンから流れてくる音楽を聞きながら、電車に揺られてぼんやりとそんなことを思う。 .
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