第一章 -旅立ち-

10/20
前へ
/358ページ
次へ
獣はロディに気付いたらしく、鋭い眼光を放つ。 「グォォォォッ!」 近くにあった樽や木箱を蹴散らし吠えると、ロディに標的を絞って襲いかかってきた。 鋭い爪を掲げ、ロディに向かって一気に振り下ろす。 「…うわっ!」 ロディはそれをギリギリまで引き付けると、寸での所で後ろに飛び退き回避した。 大地にぶつけられた力によって、凄まじい音と共に砂埃が舞う。 砂埃が徐々に晴れていき、獣が爪を振り下ろした後の大地を見ると大きくえぐられている。 爪の数だけ溝が形成されていた。 獣はそのまま地面に手を付いた状態で停止している。 「…こんなの喰らったらひとたまりもない…!」 地面に形成された爪痕を見たロディは、自分と敵の遥かなる力の差を感じ、恐怖で足がすくむ。 「…でも、僕がやらなきゃ…やるしかないんだ!!」 ロディはそう自分に言い聞かせる様に叫ぶと、使い方も知らない銃を構える。 その間に体制を整えた獣は、再び爪を掲げた。 腕を伸ばしきるとその反動と重力を利用して、爪を容赦なくロディに叩きつける。
/358ページ

最初のコメントを投稿しよう!

371人が本棚に入れています
本棚に追加