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「…よくも村を…許さない!これでも喰らえっ!!」
ロディが無我夢中で引き金を引くと、銀色に輝くその砲身は一筋の閃光を放った。
閃光は獣の爪ごと全身を捉える。
その威力が衰える事なく、遠くにたたずむ山までをも削ってしまった。
「グギャァァ!!」
閃光を真正面からモロに受けた獣は、おぞましい断末魔を残し、跡形もなく消え去ってしまった。
残ったのは無残にも壊された小さな村と、ぶつけようのない怒りと悲しみだけだった。
「はぁ、はぁ…やっ…た」
ロディは緊張の糸が切れたのか、その場にゆっくりと倒れ込む。
「ロディー!大丈夫か!?」
一部始終を見ていた村長が、倒れ込むロディの身を案じて駆け寄り、その体を抱き起こす。
「…じいちゃん、僕やったよ…」
ロディの力ない言葉が村長の耳に届く。
「…あぁ、お前の雄姿はしっかりと見ていたよ」
「へへっ、カッコよかった…?」
そう言い終わると、ロディは静かに目を閉じた。
「…!!ロディ?ロディー!!」
「すぅ…すぅ…」
ロディの身に何が起きたのだろうか。
突然襲ってきた眠気に耐えきれず、ロディは寝息を立て始めた。
そして、そのまま深い眠りについた。
「ほっ…眠ってしまったのか。よいしょっと…」
村長はロディを抱きかかえると、一歩一歩確実に歩み始めた。
その瞳の中には自分の家がしっかりと映っていた。
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