第一章 -旅立ち-

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誰かが扉に差し掛かり、ドアノブに手をかける。 ガチャという扉を開ける音がした後、誰かが顔を出した。 「じいちゃん?みんな何の話してるの?僕も大人なんだから除け者にしないで」 ロディが仲間外れにされたとばかりに、少し鋭い目をしながら現れた。 「……!!おぉロディ。体は無事か?今ちょうどお前を呼びに行こうとしていた所だ」 村長は慌てて話をすり替える。 チラッとロディに目をやるが、ロディは全く気付かなかったらしく、ゆっくりと言葉を返した。 「大丈夫。僕も今朝の話を詳しく聞きたくて…」 村長は、遠い目をしている。 そして、そのままロディをしっかりと見据え、意を決した様に話を始めた。 「…そうだったな。お前は小さい頃の事を覚えているか?」 「小さい頃?村でみんなと遊んでたよ」 村長は顎にたくわえた立派な髭を撫でながら続ける。 「そうだな。ロディはいつも元気だった。ならば、その前の事は覚えているか?」 それを聞いたロディは、首を傾げながら頭の中の記憶を呼び覚ます。 うーんと唸り声を上げたかと思うと。傾げていた頭を戻した。 答えが出たらしい。 「…小さ過ぎて覚えてない」 「そうか」 会話の最中、再び誰かが扉に差し掛かり、一拍置いてドアノブを回す。 「母さん?」 ロディの母さんはどことなく暗い表情をしていた。 急いで来たらしく、胸に手を当て呼吸を整えると、涙を浮かべながら口を開いた。 「…村長…まだ早いのでは…?」 「レイナよ。もうこの子は一人前になったのだ。いつまでも隠している訳にもいかないだろう」 「…えぇ」 ロディの目の前で、全く検討がつかない話が繰り広げられた。 ロディは自分の事ではないのかと直感で感じたらしく、恐る恐る口を開く。 「ねぇ、何の事…?」 それを聞き、村長とレイナは顔を見合わせている。 そして、二人は頷くとロディを見つめて口を開いた。
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