371人が本棚に入れています
本棚に追加
誰かが扉に差し掛かり、ドアノブに手をかける。
ガチャという扉を開ける音がした後、誰かが顔を出した。
「じいちゃん?みんな何の話してるの?僕も大人なんだから除け者にしないで」
ロディが仲間外れにされたとばかりに、少し鋭い目をしながら現れた。
「……!!おぉロディ。体は無事か?今ちょうどお前を呼びに行こうとしていた所だ」
村長は慌てて話をすり替える。
チラッとロディに目をやるが、ロディは全く気付かなかったらしく、ゆっくりと言葉を返した。
「大丈夫。僕も今朝の話を詳しく聞きたくて…」
村長は、遠い目をしている。
そして、そのままロディをしっかりと見据え、意を決した様に話を始めた。
「…そうだったな。お前は小さい頃の事を覚えているか?」
「小さい頃?村でみんなと遊んでたよ」
村長は顎にたくわえた立派な髭を撫でながら続ける。
「そうだな。ロディはいつも元気だった。ならば、その前の事は覚えているか?」
それを聞いたロディは、首を傾げながら頭の中の記憶を呼び覚ます。
うーんと唸り声を上げたかと思うと。傾げていた頭を戻した。
答えが出たらしい。
「…小さ過ぎて覚えてない」
「そうか」
会話の最中、再び誰かが扉に差し掛かり、一拍置いてドアノブを回す。
「母さん?」
ロディの母さんはどことなく暗い表情をしていた。
急いで来たらしく、胸に手を当て呼吸を整えると、涙を浮かべながら口を開いた。
「…村長…まだ早いのでは…?」
「レイナよ。もうこの子は一人前になったのだ。いつまでも隠している訳にもいかないだろう」
「…えぇ」
ロディの目の前で、全く検討がつかない話が繰り広げられた。
ロディは自分の事ではないのかと直感で感じたらしく、恐る恐る口を開く。
「ねぇ、何の事…?」
それを聞き、村長とレイナは顔を見合わせている。
そして、二人は頷くとロディを見つめて口を開いた。
最初のコメントを投稿しよう!