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「ふむ…いいかロディ。よく聞きなさい。お前は…お前はレイナの本当の子供ではないのだ!」
思いがけないその言葉を受け、ロディは背中に電流が走る様な錯覚を覚える。
そして、村長の言葉を信じられない様子で、顔を真っ赤にしながら否定する。
「そんな…そんなの嘘だ!デタラメだ!…嘘って言ってよ…ねぇ…?」
ロディは下を向き、体を震わせている。
涙が出るのを必死に堪えているのだろう。
自分が誰の子かなんてどうでもいい。
今まで嘘を付かれていた事実。
ロディにはそれが一番悔しかった。
レイナはそんなロディを直視する事が出来ず、目を背けて泣いていた。
村長はロディの肩に手を置く。
するとロディがこぼれそうな位の涙を目に浮かべ、村長を見上げた。
「…辛いだろうが嘘ではない。現実なのだ。それに、辛いのはロディだけではないのだ。…これからお前がこの村にやってきた時の話をしよう」
そう言いながら村長は目をつむり、脳内に眠る記憶を呼び覚ます。
その記憶はまるで、先日あった出来事の様に鮮明で、いつでも思い出せる位だった。
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