第一章 -旅立ち-

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< ear y Ro d > Dear My… 所々消えてて読めなかったが、最後のスペルはおそらく名前だろう。 わしは、少年と呼ぶ事を不憫に感じた為、残されたスペルからロッド、いやロディと呼ぶ事にしたのだ。 そして、自分が何者なのかわからず途方に暮れているロディを、事故をきっかけに子供を授かる事が出来なくなったレイナに託したのだ。 レイナは戸惑う事なく、自分に息子が出来たと喜んでいたよ。 忘れもしない。 とても幸せそうな笑顔を浮かべていたな。 革の袋はきつく紐で結ばれていた。 わしは好奇心をくすぐられてしまった。 そんなに大事な物なのかと… ロディに気付かれない様に開けて中を見ると、見た事のない装飾の銃が入っていた。 ロディの親が護身用にと持たせたのだろうか。 しかし、こんな年端もいかない子供に銃を持たせておくのは危険だ。 それに、わしの中の何かがその銃を拒絶していた。 自分が自分じゃなくなる様な… 何かを奪われる感覚… 吸い込まれる様な… 銃を袋から取り出すのを止め、わしは気を取り直した。 そして、この銃は災いを呼ぶと確信した。 ロディには悪いと思ったのだが、わしは村の安全を守るのが務め。 それを誰にも見つかる事のない場所に隠したのだ。
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