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語り終えた村長がロディの方に目をやる。
ロディのその顔には笑顔はない。
がっくりとうなだれている様子だった。
「……今話した事が事実だ。お前がレイナの子ではない訳と、銃を持っていた理由の全てなのだ」
「ごめんなさい…ごめんなさいロディ…うぅ…」
レイナはロディに対して何度も何度も謝っていた。
涙が枯れてしまうのではないかと言う位に泣きながら。
「そ、そんな…母さん…謝らないでよ…母さんが謝ったら僕は認めなきゃいけない…嘘って言ってよ…」
ロディは受け入れる事が出来なかった。
泣き声だけが残り、徐々に沈黙が支配していく。
それぞれ思いが錯綜する。
しばらくするとロディは、先日見た夢の事を思い出した。
「……あの夢に出て来たじいちゃんとロイドって…まさか…そんな訳…ないよな…」
それを聞き、村長が推測を話し始めた。
「おそらく……あくまで推測だが、それは封印していた記憶。ロディの心のどこかに残っていた強い潜在意識が、夢として現れていたのだろう。もしや毎日の様に見ていたのではないか?」
「…………」
ロディは図星を刺されたらしく、黙り込んでしまった。
遠くをみつめるその瞳は、寂しげで深い青。
涙が海の様に溢れていた。
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