第一章 -旅立ち-

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「……ロディ…」 レイナは、そんなロディをきつく抱きしめた。 それを見て、村長が口を開く。 「…今まで隠していてすまなかったなロディ。こんな形で話す事になろうとはな…」 元々話すつもりだった話。 だが、バーサーカーウルフの出現により、思ってもみない始まりを迎えてしまった。 「…うん。僕は母さんの子じゃないんだね…」 認めたくはないが、変わらない事実。 それを否定していても何も変わらない。 ロディはそう心に言い聞かせていた。 「……あのさ」 ロディは母さんから離れ、ポツリと囁く様に口を開いた。 「なんだロディ?」 村長がロディに目をやると、涙で濡れていた目が一変、何かを決意した様な鋭い目をしている。 「…じいちゃん!母さん!僕、マテリアルハンターになる!」 突然の言葉に辺りは騒然。 村長が素早く問い正す。 「…マテリアルハンターだと?それが何を意味するのかお前はわかっているのか!」 村長は鋭い眼差しでロディを睨みつけた。 その決意に満ちた青い瞳は、揺るぎない意志の力を感じさせる。 「うん。夢で言ってたんだ!16になったら<<エターナルマテリア>>を探せって!生きていれば必ず会えるって!」 ロディの迷いなき声は、村長を惑わせた。 「そうか…そんな時が来るのではないか。そう思ってはいたのだが…」 村長はうーんと声を漏らし、眉間にシワを寄せて渋い表情を浮かべる。 すると、レイナが突然声を掛けてきた。 「村長、いいじゃありませんか。この子ももう一人前の男です。自分の道は自分で切り開いて行く。この子を気持ちよく送り出してやるのが、母である私の願いです」 そう言ったレイナの目には、うっすらと涙が浮かんでる。 耐え難い悲しさが襲いかかる。 レイナはぐっと涙を堪えている様だった。 「…そうか。そうだなレイナよ。ロディはもう一人前の男であった。そうと決まれば今日はもう遅い。明日の出発に備えてもう寝なさい」 村長はフォッフォッと笑いながら、奥の部屋へと姿を消した。 心なしか、泣いていた様な気がする。 「…はい!ありがとう母さん!ありがとうじいちゃん!」 いつの間にか会合は終わり、当然の様に静かな夜は更けていった。
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