第一章 -旅立ち-

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─翌朝─ 旅立つには絶好の天気。 いつにも増して照りつける太陽は、新たな旅立ちを祝福しているかの様だった。 「じゃあ行ってきます母さん!」 ロディは早々と支度を整え、別れを惜しむ間もなく旅立とうとしている。 それをレイナが制止した。 「待ちなさいロディ。そんなに慌てて…これを持っていきなさい。外の世界ではこれが必要になってくるから」 レイナの手には何かの入った袋。 ロディはそれを受け取り、ジャラジャラと音がするその袋の紐を解いた。 中を見て、ロディは唖然としてしまった。 「なっ…!!どうしたんだよこんなお金!5000ジュエルはあるんじゃ…」 中にはお金が入っていた。 5000ジュエルと言えば、農家が楽に稼げる金額ではない。 「……こんな時の為に用意していたんだよ」 少ない収入をやりくりし、少しずつ貯めたのだと言う。 それを聞いたロディの心には、何かが引っかかる。 「そんな…僕、本当の子供じゃないのに」 言ってはいけない言葉だった。 それを聞いた母は、唇を噛み締めて涙を堪え、ロディを優しく抱きしめた。 「そんな事ははどうでもいいの。ロディはロディ。私の子に変わりはないわ。可愛い我が子の為に用意したのよ。受け取ってくれるわね?」 ロディは目をつむり、その優しさにしばらく浸っていた。 そして、コクリと頷き小さく言葉を発した。 「……ありがとう母さん」 その言葉がレイナの耳に届いていたのかは定かではない。
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