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ここは農業で生計を立てながら、貧しいながらも平和に暮らす親子の家。
「…ディ…ロディ」
「ん…?」
「ロディ!!いい加減早く起きなさいっ!!」
「…!!うわぁっっ!!」
ロディと呼ばれた青い髪と瞳が印象的な少年は、びっくりして床に落ちてしまった。
ドサッと言う定番の音を立てて。
「いつつ…なんだよ母さん?」
ロディは打ちつけた腰を押さえ、眠気眼をこすりながら顔を上げた。
「なんだよ?じゃないでしょ!」
茶色の背中まで伸びる髪を乱し、同色の瞳を吊り上げながら、母と呼ばれた女性が怒鳴り声を上げている。
「今日が何の日か忘れたの?」
「えっ?…あ゙っ。そーいえば…」
今日はロディの16歳の誕生日。
ここキース村のしきたりで、男が16歳になる日の朝、体に刻印を刻む。
その痛みに耐えた男だけが、一人前として認められるらしい。
実に古く、意味のわからないしきたりだ。
「さぁ、広場で村長が待ってるわよ!さっさと行きなさい!」
「はーい、行ってきまーす!」
母に背中をポンと押され、ロディは急いで家を飛び出した。
それにしてもあの夢はなんだったのだろうか。
自分と同じ姿をしたロイドという少年は、一体誰なのだろうか。
そんな事を考えながら、ロディは広場に向かった。
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