371人が本棚に入れています
本棚に追加
最後に村長は、灰色の特殊な墨を擦り込んだ。
「よし、終わりだ。よく耐えたなロディ」
ふぅっと一息ついた村長に笑顔が浮かんだ。
「…全然平気だったよ!なーんだこんなもんか!」
肩に痛みはまだ残っているが少し強がってみる。
血が伝う肩を見ると、先ほどの光景が脳にハッキリと蘇る。
「そうか。お前はこれで一人前だ。村に恥じない大人になりなさい」
「…はい!ありがとうございました!」
ロディは、大人になる責任の重さを少し感じていた。
村長に会釈をし、家へ向かう。
帰る途中、ロディは出会った少年に肩を指差し刻印を自慢していた。
「見てくれ!もう僕は大人なんだ!」
ロディの言葉に反発する様に少年が返す。
「なんだよー!ぼくだって5年後には大人になるんだ!」
16歳と11歳。
たわいもない会話を繰り広げながら、ロディは帰宅した。
家の前では母が心配そうな顔をして立っていた。
「ロディおかえり」
「ただいま母さん」
母はロディの顔を穴が開く位見つめると、微笑みながら口を開いた。
「ふふっ。どことなく大人びた顔つきになったわね」
「そ、そうかな…」
そう言われてロディは少し照れる。
照れ隠しの為か、後頭部をかゆくもないのにかき始めた。
それからの時間は、いつもと同じ様に家事を手伝い、昼食、夕食と済ませ、何事もなく一日が過ぎていった。
11時過ぎ位だろうか?
ロディはベッドに入り、何も考える事なく眠りについてしまった。
最初のコメントを投稿しよう!