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「桃から生まれたから…桃太郎だ!」
一人の男は赤ん坊を抱き上げ、そう微笑み言う。
綺麗な桃色の頬をした立派な男の子が男の腕のなかですやすやと眠る。
「いいですね、ぴったりじゃないですか」
男に近付くとそっと赤ん坊を覗く。
女は男と赤ん坊を交互に見つめると、可笑しそうに笑い声をあがた。
「どこか、貴方に似てますよ?」
「そうかー??花に似てる気がするけどな」
笑う女に男は『花』と呼ぶ。
それが女の名前だ。
彼女と男には子供はいない。だから二人とも自分の子供のように桃太郎を育て、桃太郎は二人の愛を受けすくすくと育っていった。
だが、
運命は動き出す………。
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