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先行きが不安になるほど、嫌に晴れ渡る青い空。
雲一つない、文字通り快晴の昼下がり。
そんな清らかな空とは反して、平面な荒野には赤黒い血が場違いの様に奔流し、今は物言わぬ肉塊には、屍肉を貪る烏と蝿が集っている。
それはまさに生き地獄、歩くどころか、近付くのも見るのも誰しも拒否反応を起こす。
そんな死体の山の一角に、血で濡れた、黒い上下のカンフー衣装を纏う男が居た。
手には半ば折れた両刃剣の柄を握り、血と脂で固まった黒い髪を、はたまた血で濡れた手で掻きむしる。
衛生面など欠片にも考えず、おもむろに掻いた後は、手に持った鉄屑を放り投げて、まだ虫も烏も群がっていない、比較的新鮮な死体から、新たに剣と、使えそうな鎧を慣れた手つきで剥ぎ取る。
そしてそれを、近くにあった木車に乗せて、車輪で死体を、何事も無いように轢きながら歩き出した。
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