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冬の夕暮れ。
大学の講義が終わると、外はもう暗い。
大学の最寄り駅までは徒歩五分、あまり街灯の多くない道を、寒さに首をすくめながら足早に進む。
私、有満栞にとっての目的は帰りの電車に乗ることではない。
駅ビルの一階にある、アイスクリームの全国チェーン店。
友人である香取奈美がアルバイトを始めたのをきっかけに覘いたその店に、私はいま、奈美以外の人物が目当てで、足繁く通っている。
アイスクリームの並ぶショーケースの向こう側。
アルバイトの人たちと違う、社員の制服を身にまとった、男の人。
帽子で隠れてしまっているふわふわとした髪と、少し眠たそうな、けれど何か強い力を持つ瞳、少し浅黒い肌。
推定年齢三十代半ばの、友人のアルバイト先の社員さんに私は、恋をしている。
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