36人が本棚に入れています
本棚に追加
「いらっしゃいませ、…って栞ちゃんか。
こんばんは。」
「こんばんは、白藤さん。」
白藤仁さん。
この人に会うためだけに私は、週に一回程度、この店に顔を出す。
バイト中ではない奈美と一度来店した時に、白藤さんは私の名前を覚えてくれて、それからは会うたび、少しだけお話ができるようになった。
「外、寒かったんじゃないの?」
「寒いですよー。
すごい寒いです。
そろそろ雪、降るんじゃないですか?」
「まじかー…って、そんななのによく来るよね、ありがたいけど。」
寒さに晒されていた頬が赤いと、白藤さんは笑う。
くつくつと笑うその声に、心臓の音が一瞬、大きくなった。
最初のコメントを投稿しよう!