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「いいじゃないですか。
アイス、好きなんですから!」
「だからありがたいって言ってるじゃん。
…あ、新商品味見する?」
「いいんですか!?」
少し拗ねて横を向けば、私を宥める白藤さんの声。
それが明らかに笑いを含んでいて、一瞬思わず唇を尖らせてみて。
本当は、アイスが好きなだけじゃない。
それだけだったらわざわざここに通ったりしないし、大体地元にも同じチェーン店があるんだからそっちに行けばいい。
貴方に、会いに来てるんです、なんて。
そんなことは言えなくて、そのまま。
拗ねてしまった私を見かねてか、あからさまに機嫌を取ろうとする白藤さんに、わかってはいるのだけれどやっぱり素直にそれに乗って。
彼の前だと、どんどん子供っぽくなってしまう自分に嫌気がさした。
少しでも彼に、近づきたいという気持ちだけはあるのに。
どうしても、うまく背延びができない。
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